ホルモンの数値で、筋肉のつき方はわかるのか——筋肉の中の「受け手」の話
筋トレでホルモンが多く出ても出なくても、鍛えた筋肉は同じように太くなりました。よく伸びる人と伸びにくい人の違いは、筋肉の中でホルモンを受け取る「受け手」にありそうです。ホルモンの数値で何がわかるのかを整理します。

「脚を鍛えるとホルモンが出て、腕まで太くなる」。ジムでよく聞く話です。スクワットのような大きな運動で筋肉を追い込むと、直後に成長ホルモンやテストステロンが一気に増える。それが全身の筋肉を育てる、という理屈です。
これは半分正しい。テストステロンを大量に注射すれば、トレーニングをしなくても筋肉は太くなります。
では、筋トレで自然に出るホルモンにも、同じ力があるのでしょうか。
カナダの研究チームが、左右の腕で比べる実験をしました。片方の腕は腕だけを鍛えます。もう片方は、腕を鍛えた直後に脚もたくさん鍛えて、ホルモンが大きく増えるようにしました。15週間後、どちらの腕も同じくらい太くなっていた。ホルモンが多く出ても出なくても、鍛えた筋肉は育ったのです。
ただ、同じように鍛えても、筋肉がつきやすい人とつきにくい人がいます。その違いの手がかりは、筋肉の中にありそうです。ホルモンを受け取る「受け手」が多い人ほど、筋肉がよく太くなる傾向がありました。
この記事は運動・筋肉シリーズの第3回です。第1回安静という処方が奪うもの——10日のベッドで失う筋肉と、ミオカインの科学では、筋肉が動くたびに体じゅうへ信号を送っていることを、第2回「若返る運動量」は存在するのかでは、運動の量と「若さ」の測り方を書きました。今回は、筋肉が信号を受け取る側の話です。
3行でまとめると
- テストステロンを大量に入れれば、運動をしなくても筋肉は太くなります(無作為化試験)。ただ、筋トレで自然に出るホルモンの量は、筋肉の育ち方をほとんど左右しませんでした。
- 伸び方の個人差には、筋肉の中のアンドロゲン受容体(テストステロンの受け手)の量が関係していそうです(伸び方が上位と下位の20人での比較)。
- 筆者の見解:血液のホルモン値は「足りているか」を確かめるのに役立つ。どれだけ伸びるかを知るには、筋肉の側を測れるようにすることが次の一歩です。
これまでの常識を支える研究
まず、「ホルモンが筋肉をつくる」ことを示した研究から見ていきます。
1996年、Bhasin らは健康な男性43人を4つのグループに分け、10週間、毎週600mgのテストステロン(エナント酸エステル)か偽薬を注射しました。体が自分でつくる量を、大きく超える量です。トレーニングをしなかった人どうしで比べると、テストステロンを入れた人は太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)の断面積が平均607mm²増え、偽薬の人は131mm²減っていた。トレーニングと組み合わせたグループでは、除脂肪量(体重から脂肪を除いた重さ)が平均6.1kg増えています。運動をしなくても、ホルモンだけで筋肉は太くなる。ここはほぼ疑いようがありません。
2001年の続きの試験では、若い男性61人の体がつくるテストステロンを薬でいったん止め、週25mgから600mgまでの5段階の量を20週間入れました。除脂肪量は、125mgで3.4kg、300mgで5.2kg、600mgで7.9kg増えています。増え方は血液中のテストステロン濃度(対数)と相関し(r=0.73)、太ももの筋肉の体積も、量が多いほど大きく増えていた。
2013年の Finkelstein らは、もっと細かく調べています。20〜50歳の健康な男性198人の体がつくるホルモンを止め、16週間、テストステロンのジェルを偽薬から1日10gまでの段階に分けて戻しました。量が少ないグループでは、除脂肪量と太ももの筋肉が減っていた。別の約200人では、テストステロンが女性ホルモン(エストラジオール)に変わる働きも止めました。その結果、筋肉が減るのは男性ホルモンが足りないとき、体脂肪が増えるのは主に女性ホルモンが足りないときでした。筋肉や体脂肪を保つのに必要なテストステロンの量は、人によって大きく違っていました。
成長ホルモンでは、1990年の Rudman らの研究がよく知られています。血液中のIGF-1(成長ホルモンの働きを仲介する物質)が低い61〜81歳の男性21人のうち12人に、成長ホルモンを6か月注射しました。注射した人では、除脂肪量が8.8%増え、脂肪は14.4%減った。偽薬は使わず、注射しなかった9人と比べた小さな研究ですが、その後、アンチエイジングの話題でたびたび引用されるようになりました。
ここまでは常識どおりです。ただし、どれもホルモンを外から大きく動かした試験でした。健康な人のふだんの数値の上がり下がりや、運動のあとの一時的な増加が筋肉のつき方を決めているかどうかは、ここからはわかりません。
ふつうの人を観察して「テストステロンが低い人は筋肉が少ない」という関係が見つかっても、体重や病気、ふだんの活動量といった別の理由が両方に影響しているかもしれない。どちらが原因かも決められません。上の研究者たちが、体のホルモンをいったん止めてから戻すという手間のかかる方法を選んだのは、そのためです。
ホルモンが多く出ても出なくても、鍛えた筋肉は育った
運動の直後にホルモンが一気に増えることに、意味はあるのか。カナダのマクマスター大学の Phillips らのグループが、これを直接確かめています。
2009年の West らの研究では、若い男性8人が2つのやり方を試しました。1つは、片腕だけで腕を曲げる運動をする日。このときホルモンは増えません。もう1つは、反対の腕で同じ運動をした直後に、脚をたくさん鍛える日で、テストステロン、成長ホルモン、IGF-1が増えます。腕の筋肉がたんぱく質をつくる速さは、どちらの日も安静時より上がりました。ホルモンが増えた日のほうがよく上がった、ということはありません(P=0.72)。
2010年には、同じやり方で15週間トレーニングを続けています。12人が左右の腕を別々の日に、片方は腕だけ、もう片方は腕のあとに脚も鍛えました。腕の筋肉の断面積は、ホルモンが増えない側で12%、増える側で10%太くなり、差はなかった。筋力の伸びも同じです。
個人差のほうからも調べています。2012年の West と Phillips の解析では、12週間鍛えた56人で、運動のあとの成長ホルモン、遊離テストステロン(たんぱく質と結びついていない、働ける状態のテストステロン)、IGF-1の増え方と、除脂肪量や脚の筋力の伸びとの間に、はっきりした関係は見られませんでした。弱い相関があったのは、成長ホルモンと筋線維の太さ(r=0.28〜0.36)。筋肉を分解する方向に働くとされるコルチゾールも、除脂肪量(r=0.29)や速筋線維の太さ(r=0.35)と弱く相関していました。筋力の伸びと相関したホルモンは、一つもありませんでした。
2016年の Morton らは、トレーニング経験のある49人に、全身を鍛える12週間のプログラムを行いました。ここでも、運動のあとにどのホルモンが増えても、筋力や筋肉の太さの伸びとは相関しませんでした。
では、筋肉がつきやすい人とつきにくい人の違いは、どこから来るのか。Morton らは2018年に、同じ49人のデータを調べ直しました。テストステロン、遊離テストステロン、DHT(テストステロンからできる、より強い男性ホルモン)、IGF-1、成長ホルモンなどを、運動の前後、トレーニング期間の前後のどこで測っても、筋肉の太くなり方をきちんと説明できるものはない。いちばん伸びた10人といちばん伸びなかった10人で、筋肉の中のテストステロンやDHTの量にも、差はありませんでした。
違っていたのは、筋肉の中にあるアンドロゲン受容体の量です。アンドロゲン受容体は、テストステロンを受け取る「受け手」のたんぱく質です。よく伸びた人は、トレーニングの前から後までずっと受容体が多く、受容体が多い人ほど除脂肪量や筋線維の太さがよく伸びていました。ただし受容体を測ったのは、伸び方がいちばん大きかった人と小さかった人の20人だけだった。受容体が多いから伸びた、とまでは言えません。
血液の中のホルモンの量より、筋肉の側の受け取る準備のほうが、伸び方と関係していたのかもしれません。
血液のIGF-1と、筋肉の中のIGF-1は別々に動く
IGF-1については、マウスの研究がこの話をもう一歩進めています。
血液中のIGF-1の大部分は、肝臓でつくられています。1999年の Yakar らは、肝臓だけでIGF-1をつくれないマウスをつくりました。血液中のIGF-1は大きく減ったのに、体重や体の長さ、太ももの骨の長さは、ふつうのマウスと変わりませんでした。著者らは、組織の中でつくられてその場で働くIGF-1が大事だと考えています。
逆の実験もあります。2001年の Musarò らは、筋肉の中だけでIGF-1を多くつくるマウスをつくりました。このマウスは年をとっても筋肉がやせにくく、傷ついた筋肉を治す力も保っていました。
今月発表された Armstrong らの研究(2026年)は、筋肉でつくったIGF-1で全身の不足を補えるかを確かめました。筋肉でIGF-1をつくらせても、全身でIGF-1をつくれないマウスが生まれてすぐ死んでしまうことや、育ちの悪さは補えませんでした。血液中のIGF-1の量や体重も、はっきりとは変わらなかった。著者らは、筋肉でつくられたIGF-1は、血液を通らずにその場で働いているとみられるとまとめています。
ヒトでは、成長ホルモンを注射した試験が同じ方向を指しています。1992年の Yarasheski らは、若い男性16人に12週間の筋トレをしてもらい、成長ホルモンか偽薬を組み合わせました。成長ホルモンのグループは、除脂肪量と体の水分が多く増えた。ところが、太ももの筋肉がたんぱく質をつくる速さ、腕や脚の太さ、筋力は、偽薬のグループと変わりませんでした。著者らは、増えた除脂肪量は筋肉以外の組織の分だろうと考えています。
65〜82歳の男性18人を対象にした1994年の Taaffe らの試験では、14週間鍛えて筋力の伸びが頭打ちになったところで、10週間成長ホルモンを使いました。IGF-1は2倍以上に増えたものの、筋力に上乗せはありませんでした。
健康な高齢者に成長ホルモンを使った無作為化試験をまとめた2007年の Liu らのレビュー(18の試験集団、投与を受けた人は220人)では、除脂肪量が平均2.1kg増え、脂肪は2.1kg減りました。一方で、むくみ、関節の痛み、手根管症候群(手のしびれ)、男性の乳房のふくらみがはっきり多くなり、糖尿病や空腹時の血糖の異常もやや多い傾向だった。著者らは、アンチエイジングの目的で勧めることはできないと結論しています。
なお、除脂肪量は筋肉そのものではありません。体組成計やDXA(X線で体の組成を測る装置)で測る除脂肪量には、水分や内臓も含まれます。除脂肪量が増えたからといって、筋肉が増えて強くなったとは限りません。
まだわかっていないこと
運動の順番については、研究が分かれています。ノルウェーの Rønnestad ら(2011年)は、脚の運動を腕のトレーニングの直前に行うと、腕の筋肉のいちばん太い部分がより太くなったと報告しました(9人・11週間)。順番が West らとは逆なので、それが違いを生んだのかもしれません。運動のあとのホルモンの増加に意味がないとまでは言えない、という見方もあります(Schoenfeld、2013年)。とはいえ、どちらの研究でも、腕だけを鍛えた側の筋肉も体積は増えていた。順番を気にするより、鍛えたい筋肉にきちんと負荷をかけるのが先です。
研究の多くは若い男性が対象です。女性では、男性の基準値よりずっと低い範囲でテストステロンが上がるだけでも、体が反応することがあります。Hirschberg ら(2020年)の試験では、運動習慣のある若い女性48人がテストステロンのクリームか偽薬を10週間使いました。テストステロンのグループでは除脂肪量が偽薬より多く増え、疲れ切るまで走れる時間も8.5%延びています。
高齢の人では、数値を戻すことと、体が動くようになることは別の話です。テストステロンが低い65歳以上の男性790人の試験(Testosterone Trials、2016年)では、1年間の補充で性機能はある程度よくなったものの、歩く力ははっきりとは伸びていない。男性ホルモンが低く、心臓や血管のリスクが高い男性5,246人の試験(TRAVERSE、2023年)では、心筋梗塞や脳卒中は増えなかった一方、心房細動(脈が乱れる不整脈)などは補充したグループで多く見られています。補充を考えるなら、こうした点も含めて医師と相談することになります。
IGF-1は、高いほどいいわけでもありません。エクアドルには、生まれつきIGF-1が極端に低い人たちがいます。22年間追った研究では、この人たちにはがんや糖尿病がほとんど見られませんでした(Guevara-Aguirre ら、2011年)。特別な遺伝的背景をもつ小さな集団の観察ですが、「数値を上げれば若返る」と単純には言えないことがわかります。
研究と現場をつなぐ
ホルモンを大量に入れたり、ほぼゼロまで下げたりして血液中の量を大きく動かせば、筋肉ははっきり反応します(Bhasin、Finkelstein)。一方、若い男性を対象にした研究では、ふだんの範囲の上がり下がりや運動のあとの一時的な増加は、筋肉のつき方の個人差をほとんど説明しませんでした(West、Morton)。個人差と関係していたのは、筋肉の中の受容体の量です(Morton 2018)。マウスでは、血液中のIGF-1と組織の中で働くIGF-1が、別々に動くことがあります(Yakar、Musarò、Armstrong)。
血液のホルモン値は「最低限足りているか」を見るもので、「どれだけ伸びるか」の手がかりは筋肉の側にある。そう考えると、二つの結果は両立します。ただし、これは仮説です。
今月発表された Miller らの研究(2026年)は、筋肉の側を実際に調べた例です。病気で男性ホルモンが足りずテストステロンの補充を始める男性15人と、前立腺がんの治療で男性ホルモンを止める男性15人が対象。補充は6か月、止める治療は3か月で、始める前と後に太ももの筋肉を少し取り、血液と筋肉の中の代謝物(体の中の化学反応でできる物質)を幅広く調べました。比べる相手のグループはなく、同じ人の前後を比べています。
補充で筋肉量は増え、止めると減りました。そして補充のあと、8種類の脂質のグループで、血液と筋肉の変化が食い違っていた。全体としては、血液の脂質は減り、筋肉の中の脂質は増える傾向です。著者らは、血液だけを調べても組織ごとの変化はつかみきれないと結論しています。調べたのは筋肉の太さではなく代謝ですが、血液だけを見ていると筋肉の中の変化を見落とすおそれがある、という一例です。
ここから、研究の結果を現場で試せる形にした案を三つ挙げます。どれも、まだ確かめられていない提案です。
- ホルモン値は「足りているか」の確認に使い、運動の種目選びには使わない。運動のあとにホルモンが多く出るかどうかで種目を選ぶ根拠は弱いからです。筋肉が太くなるかどうかは、鍛えた筋肉そのものを、限界近くまでしっかり使うことで決まる部分が大きい。その前提でメニューを組みます。
- 伸びにくい人を早めに見つけ、理由を筋肉の側に探す。同じメニューでも、伸び方は人によって大きく違います。数週間たった時点で伸びが小さい人に印を付け、食事、睡眠、炎症の検査値とあわせて追いかけます。
- うまくいかなかった例を研究に返す。受容体の量がなぜ人によって違うのか、どうすれば変わるのかは、まだわかっていません(Morton らの研究では、12週間のトレーニングで受容体の量は変わりませんでした)。現場で集まった「伸びにくい人」のデータが、研究の問いをはっきりさせます。
この流れを速めるのに、AIとデータが役に立ちます。トレーニングの研究はたいてい数十人規模で、一つの試験から個人差の理由を見つけるのは難しい。そこで、トレーニングの記録、体組成、血液検査、場合によっては組織の検査を時間の流れに沿ってまとめておけば、「血液の数値は正常なのに伸びない」「血液と組織で動きが合わない」といった人を自動で拾い出しやすくなります。人が何年もかけて気づく共通点をコンピューターで早く見つけ、次の仮説と試験につなげられる。そのためには、どんな条件で印を付けるかを先に決めておくことが大切だと考えています。
筆者の見解
ここからは筆者の見解です。研究の結果とは分けてお読みください。
免疫の分野でも、よく似たことがあります。血液中のサイトカイン(免疫細胞が出す信号の物質)の濃度は、組織の中で起きている炎症をそのまま表しているとは限りません。信号がどれだけ効くかは、受け取る側の細胞がどれだけ受容体を持っているか、その先で信号がどう伝わるかで変わる。筋肉とホルモンの話も、同じ仕組みの一つの例だと考えています。
だからこそ、「ホルモンの数値を上げれば若返る」「数値は高いほどいい」という単純な言い方には、慎重でありたいと思います。高齢の人に成長ホルモンを使うと、除脂肪量は増えましたが、副作用も増えました。IGF-1が極端に低い人たちに、がんや糖尿病がほとんど見られなかったという観察もある。数値を上げること自体が目的になると、測りやすい数字に引っ張られて、本来の目的である「動ける体」や「長く健康でいること」を見失いやすくなります。
かといって、ホルモンを測る意味がないわけではありません。Finkelstein らの試験が示したように、必要な量は人によって大きく違い、はっきり足りないときには筋肉が減ります。問題は、その数字から、わからないことまで読み取ろうとすることです。血液の数値が教えてくれるのは「下限を割っていないか」まで。「この人はどれだけ伸びるか」は、まだ私たちが測れていないところにあります。そこを測れるようにすることが、この分野の次の仕事だと思っています。
身近な場面にあてはめると
職場の健康づくり。「ホルモンが出る運動」をうたうプログラムを選ぶより、無理なく続けられる筋トレを、伸び方を記録しながら続けるほうが研究の結果に合っています。数週間ごとに握力や、椅子から立ち上がれる回数などを測り、伸びが小さい人を早めに把握して、睡眠や食事の様子とあわせて見直す。上で書いた「印を付ける」を、いちばん手軽な形でやるとこうなります。
入院や療養のあと。第1回で書いたように、安静にしていると短い期間でも筋肉は大きく減ります。このとき「ホルモンが下がったから筋肉が落ちた」とだけ考えると、筋肉に負荷をかけるという、いちばん確かな方法が後回しになりがちです。ホルモンの状態は確認したうえで、まず筋肉を動かすところから始めます。
体重を大きく落とすとき。食事制限や減量の薬で体重が大きく減ると、その一部は除脂肪量です。テストステロンを一緒に使えば減らさずにすむのではないか、という仮説を示した論文が今月発表されました(Zitzmann ら、2026年)。ただ、著者ら自身が、ヒトのデータはくじ引きで分けていない小さな予備的研究しかなく、まだ仮説の段階だと書いています。著者には製薬企業に所属する人も含まれています。今の時点で勧められているのは、この論文も最初に挙げている筋トレと、たんぱく質を十分にとることです。
次回の第4回では、サウナや冷水浴のように、熱さや冷たさで体に負荷をかけることを取り上げます。そこでも、「体の中で何かが増えた」という数字と、体が本当に強くなったかどうかを分けて見ていきます。
よくある質問
健康診断でテストステロンや成長ホルモンを測れば、筋肉がつきやすい体質かわかりますか?
今回取り上げた研究からは、わかりません。健康な若い男性を対象にした研究では、血液のホルモン値で、トレーニングによる筋肉のつき方の個人差はほとんど説明できませんでした。ただし、はっきり足りない状態では筋肉が減ることもわかっています。気になる症状があれば、数値の見方も含めて医療機関に相談してください。
脚を鍛えてから腕を鍛えると、腕が太くなりやすいのですか?
研究によって結果が分かれています。差がなかった試験(West ら、12人・15週間)と、脚のあとに鍛えた腕のほうがよく伸びた試験(Rønnestad ら、9人・11週間)があり、どちらも小さな試験です。今のところは、ホルモンを増やすための順番を気にするより、鍛えたい筋肉にしっかり負荷をかけるほうが、多くの研究の結果に合っています。
筋肉の中の「受け手」は、増やせるのですか?
まだわかっていません。Morton らの研究では、よく伸びた人は最初から受容体が多く、12週間のトレーニングでは量が変わりませんでした。何が受容体の量を決めているのか、変えられるのかは、これからの研究の課題です。
参考文献
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執筆:藤井祐介(Ph.D. 微生物学・免疫学/東京大学大学院医学系研究科 客員研究員)。本記事は研究知見の一般的な解説であり、特定の疾病の診断・治療・予防を目的とするものではありません。また、特定の製品の効能効果を示すものではありません。健康上の判断は医師にご相談ください。